枝log -処暑-


二十四節気の「処暑」を迎えました。 「処」には収まるという意味があり、暑さが少しずつ落ち着いていく頃とされています。とはいえ、今年もまだまだ残暑の厳しい日が続きそうです。くれぐれもご自愛ください。

さて、畑の木々の様子を見ていると、春に出てきた新芽も深い緑を経て、少しずつ秋の様子を感じられるようになってきました。葉の色はほんのり褪せ、蔓に巻き付かれたところが枯れていたり、蝶の幼虫などの養分になった跡が残っていたりと、春から夏を越え、秋へと向かっている姿が見られます。

今回はそのような木々の中から、今の時期、あまり流通していない実ものを中心にお届けします。この時期ならではの、少し特別な姿をお楽しみいただけたらうれしいです。

処暑の枝もの

実もの

鬼胡桃

胡桃(くるみ)はケーキやお菓子などにもよく使われる、私たちの身近にある木の実です。好きな方も多いのではないでしょうか。

枝についている胡桃はまだ青々とした外皮に包まれているのですが、これは果肉にあたる部分で、この外皮を割ると果肉の中心に種が入っており、更に割ると私たちがよく知っている胡桃が入っています。

実際に手に取ってみるとずっしりと重厚感を感じることができ、一つひとつの実にぎゅっと栄養が詰まっていることを感じられます。重みのある枝ものなので、花瓶に生ける時には平たい器やお皿に枝を添えて飾ったり、実そのものを置いて楽しむのもおすすめです。

水揚げ方法:なし
水につけずにそのまま飾ってお楽しみください

コムラサキシキブ

お庭のアクセントとしても人気のコムラサキシキブ。今、ちょうど実の色が緑色から紫色に色づき始めています。小さな実がころころと連なる姿はなんとも愛らしいですね。

ちなみに、名前がよく似ているムラサキシキブは、コムラサキシキブの近縁に当たります。ムラサキシキブは枝に実がまばらにつくのですが、コムラサキは枝に固まってびっしりと実ります。そのため枝を飾ったときに実の存在感があり、少し離れたところから見ても紫色が印象的に映ります。園芸店でもよく流通されていて、人気の高い枝ものです。

水揚げ方法:水切り
水に浸かる部分の葉を丁寧に取り除き、茎を水中で斜めにカットします。
茎の断面にハサミやナイフで十字に切れ込みを入れると、より水の吸い上げが良くなります。
深めの水に数時間浸けるとしっかりと水を吸わせることができ、実や枝の鮮度を長く保つことができます。

シロシキブ

コムラサキシキブと同じ種類の植物ではありますが、シロシキブはその名前の通り、白い実をつける品種。緑の葉とのコントラストが、涼やかで清楚な印象をつくります。はっきりとした色のコムラサキシキブに比べると、シロシキブは控えめでやさしい雰囲気。その分、飾る場所を選ばず、夏の名残を感じる空間にも、少しずつ秋へ向かう季節のしつらえにもよく合います。

他のグリーンと合わせて爽やかに飾ったり、枝の線を生かして一輪でシンプルに生けるのもおすすめです。また、同じ品種のコムラサキシキブと一緒に飾ると、お互いの色味を引き立て合い、ひとつの枝ものでも違った表情を楽しめます。

水揚げ方法:水切り
ナンキンハゼ

ナンキンハゼの緑色の実は秋頃に黒くなり、殻が爆ぜると中から白くて丸い種子が顔をのぞかせます。中の白い部分は脂肪分が多いため、秋から冬にかけてよく鳥たちがナンキンハゼの実を食べに畑にもやってきます。

完全に落葉しても白い実は枝に残るため、よく実つきの枝ものとして、流通しています。ドライフラワーの花材や、スワッグやリースの材料としても使われているようです。

葉は薄く水が上がりづらいのであまり見る機会はないかもしれませんが、可愛いハートの形をしています。今回は、昨年の実をドライにしたものもご一緒にお届けします。

水揚げ方法:水切り

西洋カマツカ

春には白い花を咲かせ、夏の深い緑の葉を茂らせ、秋には紅葉、冬には葉を落として枝の姿を見せてくれる西洋カマツカ。四季を通して、それぞれ違った魅力を楽しめる木です。夏の枝ものは気温が高く水が下がりやすいため、どうしても他の季節に比べて楽しめる期間が短くなりがちです。そんな中でも、西洋カマツカは夏の枝ものの中では比較的葉持ちが良く、暑い時期にも楽しんでいただきやすい種類です。生けていると日に日に葉が黄色に変色していく姿もまた魅力があります。その過程もぜひお楽しみください。

水揚げ方法:水切り

葉もの

雲竜柳

7月初めの「小暑」でもお届けした雲竜柳。初夏の頃はしなやかに葉を垂らしていた雲竜柳も、夏の暑い時期を越して畑では少しずつ枝にうねりが生まれ、夏の雲を目掛けてぐんぐんと成長しています。

くるくると自由に伸びる独特な曲線が雲竜柳の特徴です。一枝をシンプルに生けても存在感がありますし、他の枝ものと合わせると全体に動きやリズムを添えてくれます。
器を選ぶ際は、枝の美しい曲線を楽しめるガラスの花器や、躍動的な雲竜柳の雰囲気を引き立たせてくれる粗い質感や土の風合いの残るフラワーベースもおすすめです。
実ものとの相性もよいので、お好きな枝と組み合わせて楽しんでいただけたらと思います。

水揚げ方法:水切り
硬い枝ものは、ハンマーなどで枝の根本を叩きます。繊維をほぐした状態にすることで、水上がりが良くなります。

組み合わせ例

一枝で飾るのはもちろん、一緒に組み合わせることで季節感あふれるアレンジがお楽しみいただけます。